今回のヤマハのキーボード及び電子ピアノの新製品は、機能面で他社との差別化を図りより高級に、より商品の価値を高める傾向にでてきたのだと思いました。
この分野での大きな問題点=カシオ商品の台頭はキーボード&電子ピアノの商品単価が下がること、又玩具としての扱いに陥る事態を引き起こしかねないということであり、その問題についてヤマハを始め各メーカー、我々小売業者は頭を悩ませておりました。
最初に価格ありき。は、確かに消費者の値ごろ感をくすぐり、消費行動に結びつく方法論で、カシオのプリヴィアが発売された当初、圧倒的な人気を得て商品が足りない状況まで引き起こしました。ヤマハ・ローランド・コルグ等もこれに倣えで、次々と低価格の商品を発売していきます。
しかしここ数年、出荷金額が前年を下回る事態に各メーカーも実態を重く受け止め、商品の価値を高める方向(マクドナルドの手法)に方向転換をしてきているのでしょう。
楽器を使う・演奏する、或いはこれからやってみたいという人の人口に対する比率がどれだけあるのかと考えると、大量消費が見込める業種ではないのは明らか。尚且つこの業種はそんなに儲かる商売ではないのですよ、実際。
そんな中で単価が下がるということは私共小売業者にとっても深刻な問題なのです。
ローランドはこの問題にいち早く取り掛かり、
ローランド・フォレスタというショップを小売店の中に立ち上げ、納得のいく商品を納得のいくまで選んでもらえるような体制を作ろうとしています。その為には、価格に説得力があり商品の価値を他社とは違う、安物とは違う機能と音(抽象的なので微妙ですが)が無くてはなりません。同じ販売努力、商品開発努力をするのであれば、こういった前向きな方向性の方が健康的ですし、実際ローランドの鍵盤販売は今のところ好調と聞きます。
今回のヤマハの新商品にも随所にそういう意図が感じられます。後は、我々販売する人間の凛とした姿勢も重要ですね。玩具を売るつもりはないというプライド。そういうお店作り、スタッフ育成が重要課題です。